『音楽』はまさに音楽だった。
原点であり、頂点。と称されたとおり、3人体制初のアルバムでありながらこれまでの集大成とも言える最高傑作。
想像以上でした。。。
3人の確立されたハーモニーや人数以上の音圧が聴いていてとても心地よかった。
とにかく今のNEWSがすべて詰まったアルバム!
というわけで、今回も懲りずにライナーノーツ的な何かを書いてみる。
〈"Introduction" -Interlude-〉
今作のInterludeを担当するのは我らが加藤シゲアキ。
そして語りは松たか子さん。
「ある男」と「耳で音楽を食べる小さな星」の物語。
小さな星が地球に落ちた
から始まるこのお話は終始2人の会話で進んでいく。
「教える」側と「教えられる」側は違えど、どことなく『星の王子様』を想像せずにはいられない。
「小さな星」が食べたことのない『音楽』に触れる度が始まる。。。
〈TRIAD 〉
リード曲。
メンバーそれぞれがいろんな楽器を鳴らし、サンプリングされた音が随所に散りばめられている。
初回Aのドキュメンタリー(メイキング)に映るように、メンバーがやったことのある楽器もあれば初めて触る楽器にも挑戦している。
プロに教えてもらいつつ見よう見まねで奏でた1音もしくは1フレーズは、荒削りなところもあるもののそれがまたいい味を出している。
サンプリングした1音1音を見事に組み立てたのがNEWS楽曲ではお馴染み、m-floの☆Taku Takahashiさん。
そもそも「TRIAD」とは三和音のこと。
簡単に言えばド・ミ・ソ。
ピアノの和音から始まり、ハープ、ヴィブラフォン、シンセ、サックス、ティンパニー、と音が増えていく。
Aメロはイントロと同じくピアノのスタッカートの和音が、Bメロはエレキギターのコードが中心となっている。
サビでグッと音数が増えて厚みが増す。
小山くんもオクターブ下ではなく下ハモをしていて、さらにラスサビは増田くんが上ハモにまわりまさに「TRIAD」で終わる。
〈LOSER〉
29枚目のシングル。
NEWSの1つの魅力であるエモーショナルさが堪能できる楽曲。
ただ、今までのエモーショナルな楽曲と違うところはアップテンポなところ。
四つ打ちのリズムで進行するためテンポ以上に疾走感がある。
イントロや間奏の突き抜けるトランペットが最高に気持ちいい。青春だ。
3人の声だけで始まり、終わりもバックの音楽がすっと消えて声だけが残るのがいい意味で人間味があって良い。
〈カノン〉
お洒落な夏歌。
どちらかと言うと近年のカップリングに入っていそうな曲。
「カノン」の名のとおり、パッヘルベルの「カノン」が引用されていたり「カノン進行」が使われている。
おそらくこの曲の主人公は大人で、きっと普通のサラリーマンでもしているのだろう。
現実はときに厳しく、ときに醜く、ときに苦しい。
そんな主人公があの日の「扉」を開き「あの夏」に想いを馳せる。
そして大人になってしまった今でも自分たちの心に希望や夢は十分にあるのだと歌う。
歌い出しは加藤くんから始まるのだが、どことなく憂いを帯びた声がこの曲の切なさにぴったりはまっている。
ところで、NEWSに触れてきた方なら「あの夏」に想いを馳せる曲といえば「エンドレス・サマー」が思い浮かぶのではないだろうか。
「エンドレス・サマー」は青年(10代だろうか)が無邪気でなんでもできるような気がしていた幼き日々を振り返り、そしていつかありふれた大人になったとしても「扉」は「あの夏」に繋がるのだと言う。
「カノン」の主人公はあのときの「おもちゃの羽で飛べる気がしてた少年」であり「ありふれた大人」になってしまったのかもしれない。
夏が過ぎて 夢は覚めて
思い通りじゃなくても
あの日の「夢」もきっと叶わなかったのだろう。
でも、「夢」を抱くことが出来なくなったわけではない。
「あの夏」の「扉」があるからこそ「今」がある。
そしてまだ「夏」は続いている。。。
2曲とも「心」を「ここ」と読ませているのだかが、「HIGHER GROUND」と「イノセンス」でも同じ使い方がされている。
この2曲も同じ世界線なのだろうか。
まだまだ考察のしがいがありそうだ。
〈"Rhythm" -Interlude-〉
「小さな星」はリズムに出会う。
リズムはどこにだってある。
何からでもリズムを生み出すことができる。
〈ポリリズム〉
Rhythmのインタールードからの「ポリリズム」。
ポリリズムとは同時進行で異なるリズムが演奏される音楽のこと。
わかりやすいのはサビの最後。
星のよう流れる Music
裏で鳴ってるスネア?が2拍3連を叩いている。
イントロも変拍子になっているため非常に不思議な掴みどころのない感覚に包まれる。
全体的にさまざまなリズムが使われていて、歌詞も韻を踏んでいて、感覚として楽しめる楽曲になっている。
〈チンチャうまっか〉
26枚目のシングル。
NEWSお得意のトンチキソング。
クセ強ソングがここに入ってくるとは。。
世界各国の「おいしい」が歌詞に盛り込まれていて、アッパーなこの曲は耳から入ってくる語感を味わうのがおすすめ。
サビの振り付けもキャッチーで覚えやすい。
ちなみに、MVのサイを持ってバチバチにキメる増田くんが個人的イチオシポイント。
NEWS - チンチャうまっか [Official Music Clip (short ver.)] - YouTube
〈三銃士〉
29枚目のシングル。
GreeeeN楽曲提供。
シングルとしては「Weeeek」以来15年ぶりに提供していただいたこの曲はアッパーで軽快なサウンドでありながら歌詞は深い。
三銃士とはNEWSの3人だということは言うまでもない。
「アイドル」とはキラキラしていて夢のようなお仕事に見られるけれど、決してそれだけではない。
裏では同じだけの努力や苦労がある。
NEWSというグループは特にここまで平坦な道ではなかった。
メンバーもファンも時に泣いて、時に笑って、やっとここまで来たのだ。
そんな彼らからの「大丈夫だよ。これからも着いてきてね。」というメッセージがこの曲には詰まっている。
参りましょう 明日明後日
どこまでも一緒に
NEWS - 三銃士 [Official Music Video] - YouTube
〈"Melody" -Interlude-〉
星と星を繋いで星座をつくったように、
音と音を繋げることでメロディーが生まれる。。
〈ビューティフル〉
26枚目のシングル。
Melodyインタールードの口笛からこの曲への繋がりが見事。
背景としては4人のNEWSと3人のNEWSの境目に位置する曲。
※ドラマ「レンタルなんもしない人」の最初数話では4人ver.が流れていた。
とはいえ、すっかり3人が体に染み付いてしまった。
歌もMVもいい意味で肩の力が抜けていて等身大な声や姿がそこにある。
背中を押すのではなく、そっと見守ってくれる応援歌。
「君のまま」で「今のまま」で良いのだと教えてくれる。
ちなみにイントロの口笛は増田くんが吹いているので、注目して聴いてほしい。
〈pink moon 〉
シンガーソングライターkacoさん提供曲。
過去には「madoromi」や「リボン」を提供していただいているが、今回もド直球のバラードとなっている。
pink moon とは4月の満月のこと。
アメリカの先住民の方々がピンクの野花が咲く頃の満月をこのように名付けたという。
日本でも春には桃や桜といったピンクの花が咲くので想像しやすい。
テンポがゆっくりで楽器の種類も音数も少ない分、今の3人の声やハーモニーを一番堪能できる。
ここまでのバラードはシングル曲ではなかなか歌われないので、普段とは違う声色が聴ける。
〈"Harmony" -Interlude-〉
「ある男」は「小さな星」に音と音楽の違いは何かと問う。
リズムもメロディーもコードも1つでは成立しないのだと教えた。
〈KMK the boys rock you all !〉
大勝利。
ゴスペル隊のコーラスから幕を開ける本楽曲はまるで1つのミュージカルやショーを観ているような気分にさせてくれる。
とにかく音圧と音の厚みがすごい。
小山くんの歌い出しから始まるAメロは個人的には『ライオン・キング』のイメージなのだが、物語の幕開けもしくは夜明けを感じさせる。
徐々にハーモニーが厚くなっていきサビで盛り上がりは最高潮に。
響きはゴスペルだが、メロディーはJ-POPやROCKっぽさがあって、まさに総合芸術といった豪華さ。
「rock」には感情を揺さぶるといった意味があるのだが、そのタイトルの通り自然と心を動かされ、アンサンブルに参加したくなる自分がいた。
歌詞もまさに「音楽」を歌っていて、聴くだけで贅沢な空間へと誘ってくれる。
〈カナリヤ〉
26枚目のシングル曲。
3人体制になって初めて3人のためにつくられた楽曲。
ファンとしては立ち上がる3人の姿をこの曲のカナリヤに重ねてしまう部分もあるのだが。。。
カナリヤというとカゴの中に小さく佇む姿を思い浮かべるだろう。
ペットとして可愛がられ幸せに過ごす一方で、その羽を使って広い空を飛び回ることはないたぶんない。
そんな「飛び方を忘れたカナリヤ」をこの曲の主人公の「心の鳥」に例えている。
しかし、「飛び方を忘れたカナリヤ」はこのままでは終わらない。
それ以外のサビでは「もう一度飛ぶ、夢を見て」となっているのに対し、Cメロ後のサビは「もう一度飛ぶ」と言い切る。
大サビではまた「もう一度飛ぶ、夢を見て」となるが、ここでの「夢を見て」は少し印象が異なる。
「いつか」を夢見ているのではなく、飛び立つ「その日」を見据えているのではないだろうか。
〈走れメロスのように〉
武田鉄矢さん作曲。
この歌が伝えたいこと、それは「走れメロスのように」。この9文字に全てが詰まっている。
太宰治作『走れメロス』は国語の授業などで読んだことがあるという人も多いだろうから、あらすじを書く必要もないかもしれないが…
メロスは人間不信で市民を苦しめる王に立ち向かうも、あえなく捕らえられ処刑されることに。妹の結婚式にどうしても出たいと、親友のセリヌンティウスを人質にし3日後の日没に戻ってくることを条件に猶予を求めた。
王は戻ってくる訳がないと思っていたが、メロスは親友の為に道中の困難を乗り越え戻ってきた。親友セリヌンティウスもまたメロスのことを信じていた。
この歌の歌詞にはそんな純粋な「君」と「僕」の関係が描かれている。
「僕」が走る理由。
それは「唄」を「君」に届けるため。
つまり走っているのはNEWS自身で、「君」とはファンも含めたNEWSの唄を聴く人たちのことなのだろう。
うまく歌うテクニックや飾ったフレーズではなく、まっすぐでありのままの唄が歌いたいと言う。
エモーショナルをひとつの武器としている彼らにはぴったりな歌詞だ。
1番の増田くんに対して2番のAメロを小山くんがオクターブ下で歌っているが、小山くんの声が一番響く音域で聴いていて心地よい。
「pink moon」もそうだったが、こちらもシンプルなアレンジで歌詞で歌われている通り「そのままの唄」を聴くことができる。
〈"Dischord" -Interlude-〉
dischord=不和。
本来の綴りは「discord」だが、chord=和音、玄
と掛けた造語?
音楽は時として不協和音をも生み出す。
君はどうする?
〈BURN〉
27枚目のシングル曲。
王道のロックサウンドをスタンドマイクで歌い上げる。
Aメロは増田くんと小山くんのラップ。
Bメロに入るとそれまでとは一転、加藤くんがゆったりとメロディーを歌い上げる。
サビではまた激しく力強い雰囲気へと戻る。
王道のロックサウンドながらラップが入っていることで、バンドグループとは違うジャニーズらしさが感じられるのではないだろうか。
3人の魂を震わせる歌声をお聴きください。
〈ReBorn〉
28枚目のシングル曲。
こちらもロックサウンドではあるが、前曲以上に次々と目まぐるしく展開されていく。
作詞作曲に篠原とまとさん、伊藤賢さん、辻村有記さんの通称「夜よ踊れ」チームが参加されているとなれば、そりゃあ一筋縄ではいかない。
2番からの展開は想像を遥かに超えて、いや想像すらできないほど。
『Burn』もそうだが、ラップにすることでよりリズム感やエネルギーが生まれる。
まぐるしい展開こそがこの曲に命を吹き込んでいる。
綺麗なだけが音楽ではない。
ぶつかり合う感情や必死に生きる魂をも表現できるのが音楽である。
インタールードで伝えたかったことはそういうことだろう。
〈"Music "-Interlude-〉
夜明け。
「ある男」と「小さな星」、別れのとき。
〈未来へ〉
28枚目のシングル曲。
暑苦しくなく淡々と、でも力強く歌い上げる壮大な応援歌。
受験をテーマにしたドラマの主題歌であったこともあり、何かに挑むときにグッと背中を押してくれるようなそんな力がこの曲にはある。
大サビでは全員がフェイクをしていて、まだまだ3人の音楽性を高めようとしている意気込みが感じられる。
サビや間奏部ではずっとスネアがリズムを刻んでいて、行進曲(マーチ)と呼ぶのが適切かはわからないが、目標へ一歩一歩進んでいくイメージと結びつく。
超えてきた
誇りがある
大丈夫
未来で共に笑おう
と、超えてきた自分たちがいるから大丈夫なのだと歌ったあとで
明日また会おう
と締め括られるのもまた粋だ。
「明日の自分たち」には「今日までの自分たち」がついている。
〈Coda〉
Codaとは音楽用語で「楽曲の最後部」「末尾」という意味。
まさにアルバム『音楽』は『Coda』で幕を閉じる。
夜が明け行く中、歌声が響き渡る。
アルバムの「Coda(最後部)」でありながら、夜明けつまり次への序章、黎明といった印象が強いこの楽曲。
アルバムとしては最後の曲だけれども、NEWSの音楽は終わらないよというメッセージに感じられる。
アルバム内の楽曲の歌詞が引用されていたり、オマージュされていて、エンドロール的な役割も果たしている。
〈Outroduction〉
今までのアルバムとは違い、曲中にアウトロダクションが含まれている。
これからも歌い続ける。
僕の内側に、音楽がある限り。
「小さな星」のこの台詞と息を吸い込む音でアルバムは閉じられる。
「音楽」を知った人から「音楽」を奪うことはできない。
音楽を奏でる楽器が無くったって、手を叩けばリズムが生まれる。鼻歌を歌えばメロディーが奏でられる。
音楽を聴く術が無くったって、頭の中で知っている音楽を流して楽しむことができる。
自分たちの内側に「音楽」がある限り、それを自分自身で自由に奏でたり聴いたり楽しんだりする権利があるのだと、このアルバムが教えてくれた。
そういえば、私のお気に入りの映画作品『ショーシャンクの空に』でも主人公が同じようなことを言っていたな。
4部作を終えたNEWSはこのアルバムとツアーをもって、新たな旅に出る。
きっとNEWSも彼らの内側に音楽がある限り、歌い続けるのだろう。
聴き終わったとき「ここから新章の幕開けだ」ってワクワクした気持ちがぶわーっと溢れてきて、そんな門出にふさわしいアルバムであると確信した。
Fine
長い、長すぎる笑